小・中・高に通わず大学へ行った話
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誰もが自分が最高だと思える生き方ができたら、そんなに素敵なことはなくて、それがいちばん楽しくて美しい世の中だとおもう。(88ページより)
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義務教育に行かない生き方
本書は、小学校から高校まで、一切学校に通わず、大学に現役合格した著者と母親の回想録です。
 
著者の星山さんは、小学校から不登校になり、高校まで一切学校に通いません。しかし、17歳の時、「大学に行きたい」と一念発起、九九も分からない状態から、小・中・高12年分の勉強を約3か月で終え、高校卒業認定試験に合格し、そのまま大学にも現役合格しました。
 
本書からは、無理に学校に行かなくても、「やりたいことをやり、やりたくないことはやらない」という生き方を実践し、勉学を楽しみ、社会に仕事と居場所を作り、幸せになれる人間、つまり立派な大人が育つことが学べます。
それでは見てみましょう。
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「やりたいことをやる」「やりたくないことはやらない」
星山さんは、小学校1年生の時、男子は青、女子はピンクのファイルが配られるなどの、学校で当たり前に行われているシステムに強い違和感を持ち、小学校に行くのをやめてしまいました。母親の晃子さんも「学校という形に、全ての子どもが合うわけではない」と考え、登校拒否を受け入れます。そして、6歳から11歳までデモクラティックスクール(サドベリースクール)に通います。

星山さんはその頃から「やりたいことをやる」「やりたくないことはやらない」を大切にしてきたと言います。学校のことも重大なこととはとらえず、着る服やご飯を選ぶような感覚で、「行く、行かない」を選んだと言います
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デモクラティックスクール(サドベリースクール)とは?
アメリカのボストンにある「サドベリーバレースクール」は、オルタナティブスクール(もう一つの学校)のひとつです。「教える」「教わる」がなく、生徒の「やりたい」という主体性を基本に、
「自分の好きなことを学ぶ」
「カリキュラムとテストなし」
「子どもの尊重」
「ミーティングで話し合って決める」
「年齢ミックス」
などを特徴とした、徹底した民主的教育理念で運営されています。
従来の学校にあるような成績や態度への評価や平均という概念は存在しないので、「こどもがわがままになるのではないか」「勉強せずに遊んでばかりで社会に出れないのではないか」と心配されますが、
「自分のことは自分で決める」
「みんなのことはみんなで決める」
という完全民主的な教育組織のため、ほぼすべての子どもは主体的に自分の関心を見つけ、自分で学び、自分の道を選んで社会に出ていきます。
また、本書の星山さんは小中高の学習内容を3か月ですべて学習してしまいますが、他の国のサドベリースクールでも、小学校6年分の算数の内容を2週間で修了する子ども、自分で勝手に外国語をマスターする子ども、というのは普通だと言います。
子どもたちは大人たちに見守られながら、本来の「学ぶ力」「育つ力」を伸ばして過ごすことができる新しい教育の場所として、注目されています。



不登校は献本違反?「日本国民の三大義務:勤労、納税、教育」と日本国憲法第26条
日本国憲法第26条には「すべての国民に教育を受ける権利がある」「保護者は子どもに教育を受けさせる義務がある」と書かれています。しかし、実は「子どもは学校に行かなければいけない」とは書かれていません。義務があるのは親であって、子どもが学校に行きたくないのは、法律的に問題ないのです。また、それまで学校にいっていないが大学に行きたいという場合も、満16歳以上の誰もが受けられる「高等学校卒業程度認定試験」に合格すれば、大学受験資格が得られます。


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大学に行ってみたい、と一念発起
その後、小学校、中学校、高校には通わず、九九も知らずに育った星山さんですが、17歳の夏、大学受験の6か月前に「大学に行きたい」と思い立ちます。そこから約3か月で小・中・高の学習内容を終え、6か月で、高卒認定試験と大学受験の双方に合格します。
 
星山さんは、自分は特別頭がいいわけではなかった、と言います。しかし、6か月で大学に受かる遊びの1つとして、「ゲーム」を攻略するように、勉強に取り組んだからこそできたのだ、と言います。必要なのは特別な頭の良さではなく、自分が「学びたい」「やりたい」と心から思っているかどうかだったと振り返ります。「やりたいことをやる」「やりたくないことはやらない」を大切に生きている星山さんにとって、人生は「たくさんのやりたいこと」に溢れており、勉強と大学は「やりたいこと」「行きたいところ」のひとつに過ぎず、「生き方」ではない、と言います。
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「やりたいこと」はいつも楽なわけではない

なんにしても、大切なのは、それが心から「やりたい」ことだ、ということです。やりたいことをやるのは、絶対に楽しい。やり遂げたいことだったら、自ら努力する。わたしの場合は、それが「行きたい大学に入学すること」だったという、ただそれだけなのです。 p49より


「やりたいことをやる」、と言うのは簡単です。しかし、星山さんは同時に「やりたいことはいつも楽なわけではない」と言います。勉強もそうで、やりたかったけど、ラクチンなわけではなかった、ただ6か月で大学に合格する、というゲームを攻略するように乗り切ったそうです。


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主体性を育んだデモクラティックスクールと親の愛情
星山さんの「やりたいことをやる」、そうと決めたら真っすぐ行動する、という主体性、瞬発力、意志力は、サドベリースクールと親の愛情で育ったと言います。
 
子どもの「やりたい」を尊重し、一方的に大人が何かを強制することのないデモクラティックスクール(サドベリースクール)では、逆に自分でやりたいことを見つけていく必要があります。星山さんは6歳から11歳までそこに通うことで、自分がやりたいこと、楽しいと思えることを見つけ、取り組んでいくマインドが育ったと言います。

また、星山さんは親からは常に一人の人間として扱われ、自分のすることを信じてもらえた、だから「やりたいことをやる」という心が育まれたと言います。
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自分のほんとうのこころを知る訓練

そこではなに一つ間違いではないし、正解でもないし、善悪もないのです。だから、自信をもつしかない。自分自身で考えて、自分はどうなのか、なにが好きなのか、どうするのがいいのか、自分のほんとうのこころを知るしかないのです。 p59より


星山さんは、小学校に行かない代わりに、6歳から11歳までデモクラティックスクール(サドベリースクール)に通っていました。デモクラティックスクールには、従来の学校にあるものはほとんどありません。どこに座って、いつ何をするか。昼食は何を食べるか、食べないか。どれも間違いでもなければ、正解でもありません。だから、自分の心に従って選び、自分で動くしかないのです。何を選んでも怒られず喜ばれない場所なので、誰かの顔色を伺うのは意味がなく、自分のほんとうのこころを知るしかないのです。




子どもが親に求めることは、自分を愛してくれることだけ。

子どもは、どんなに「大多数」とか「一般的」とかから外れたところで生きるとしても、ほかの誰かから非難されるような生き方をするとしても、ほかの誰かに認められなくても、母親からの、ほんとの、100%の愛情があれば、それだけでもうなにも恐れることはありません。 p66より


星山さんは、いわゆる「大多数」「一般的」とは言われない生き方をしています。それは母親からの100%の愛情があったからできた、と言います。子どもは大人が導かないといけない、という干渉は、子どもはなにも分からないし出来ない、という不信が前提になっています。一方で、人は生まれつき自分で育つ力を持っている、という前提ならどうでしょうか?もし、そうなら大人が子どもより上の存在ということはありません。子ども大人と同等の人間となります。子どもを人として尊重し、愛情をもって接すること、星山の母親の愛情とは、過保護や放任ではなく、子どもを一人の人間として信じる、という実践の連続です。そうすれば子どもは自分で生き生きと育っていくと、星山さんは言います。



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一人の人間として子どもを見る方法
では星山さんのお母さんは実際にどんなふうに子どもと接したのでしょうか?母である吉田さんは、
「子どもをいつでも名前で呼ぶ」
「赤ちゃん言葉を使わない」
など、「子どもとひとりの人間として向き合う」ことを大切にしていました。そうすることで、同じ立場の人間として接することができると言います。

また、星山さんがやりたいことは全面的に応援し、見守ったと言います。「好きなことばかりするとわがままになるのではないか?」という疑問もよく聞かれますが、親からの本当の信頼を受けていればそうはならず、むしろ、子どもの声に耳を傾け、子どもから学び、味方でいることが、子どもが本来持っている「育つ力」を発揮することにつながると言います
 
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子どもをひとりの人間として尊重する。

子どもは、「育つ力」を持っています。子どもは育てなくても育ちます。育てるものではないと、おもっています。 p103より


星山さんの母は、「子どもとひとりの人間として向き合う」ことを大切に過ごしてきました。子どもをお兄ちゃん・お姉ちゃんではなく名前で呼ぶことや、ブーブーなどの赤ちゃん言葉を使わないなどを心がけており、これらは「そうするのが正しい」と頭で考えたものではなく、「そうした方が心地いい」という感覚から来るものでした。子どもは「大人が育てる」ものではなく「自分で育つ」のです。子どもが持つ純粋な感覚は、大人が持つ先入観や固定概念を打ち砕いてくれます。子どもが親を育ててくれるのです。子どもの声に謙虚に耳を傾けて、子どもから学び、常に味方でいること、そうすれば、子どもは自分が持っている「育つ力」を思う存分発揮していきます。
 


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勉強とはなにか、学問とは何か、学校とは何か
大学に入った星山さんですが、大学は「自分の興味のあることを学ぶところ」であると考えていました。ですが、実際大学に行くと「この人はどうして大学に来ているんだろう?」と感じてしまう学生もたくさんいたと言います。その人たちは、学校が教える教科を学習し、良い評価を得ることに関心があるのであって、「好奇心」を持って、その人たち自身が「生きる」ための学びを求める、またはその人たちの「生き方」を極める学びを求める人達ではなかった、と言います。
星山さんにとって、大学も勉強もあくまで「行きたかったところ」、「やってみたかったこと」の1つに過ぎません。好きになれないものや、自分にとって価値が見いだせないものに時間を費やすと、主体性や行動力が鈍る、それが星山さんの考え方です。星山さんはその後、自ら教育関連の団体を立ち上げ、運営しています
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勉強は「生」すべてにつながる学び。

勉強というと、机に着席し、おおむね学校で習う教科を学習する、と捉えていたわたしでしたが、勉強は、「生」すべてにつながっている学びなんだと教えられました。そして、その学びを衝き動かすものは、誰もが生まれもっている好奇心です。 p129より


勉強は学校で習う教科を学習することだけではなく、「生」すべてにつながっている学びのことです。星山さんは、友人から送られてきた漢字のメールを読みたいという気持ちから辞書を使って漢字を学び、欲しいものを買う・やりたいことをやるために月5,000円のお小遣いをやりくりして生活していました。アニメがきっかけで「イタリアに行きたい」という気持ちが生まれ、イタリア語も学びました。それらの学びを突き動かすのは誰もが持っている「好奇心」、知ってみたい!やってみたい!と内から湧き出る気持ちです。
好奇心が源となった好きなことで遊び続けているとキツイことも出てきますが、キツイことでも、それが好きなことなら楽しいに変わっていきます。また、遊びは誰か・何かが邪魔をしなければ、創造する力がつく真剣な学びであると、星山さんは言います。
 


レンジ 知識の「幅」が最強の武器になる
1.覚えておきたいこと
 

幸せな人生を送るために必要な考え方は、「やりたいことをやる」「やりたくないことはやらない」というシンプルな思考です。そのような「自分が幸せになるための方法」を「生き方」と言います。つまり、子どもが幸せになるために必要なのは、「生き方」を見つけるヒントである、子どもの「やりたい」という気持ちを尊重すること、そして「生き方」を探求する好奇心と、それに基づく学びです。
学校に行くことは「生き方」ではなく、「生き方」を知る手段の1つに過ぎませんが、現代はその順番が逆転してしまっています。そのために「生き方が分からない」ままに、我慢して学校に行き、幸せから遠ざかり、こころを病む子どもがいます。私たちは学校に行くのが当たり前すぎて、「生き方」と学校に行くことを同列に考えてしまっています。まずは、自分がどう生きていきたいのかを先に考え、その上で、学校を考え直してみましょう。

 
 
2.子どもたちへ
 
生きていく中で、たくさんの「なんでだろう」があると思います。特に純粋に感じた疑問は大切にして、しつこく考え続けてみてください。そして心から湧き出る「やりたい」「やりたくない」という気持ちを何よりも大切にしてください。そうすれば、あなたが幸せになる方法、つまり「生き方」が見つかります。「生き方」をより良くするために、学校を活用してほしいと思います。
また、もし「学校には行かない」ということになった時も慌てないでください。それは他の人達とは違うかもしれません。でも、重大でもなければ、劣ったことでもありません。食べたいものを選んだり、好きな服を着るのとおなじ、ただの「選択の違い」に過ぎません。あなたの「生き方」を真っすぐに考え、率直になってみてください。学校に行かなくても、自分の「生き方」に率直になって、立派な大人になっていった人はたくさんいるのですから。
 
 
3.家族で話してみよう
 
まずは家族一人一人がシンプルに「やりたいこと」「やりたくないこと」、自分自身が幸せになり、幸せが循環していく「方法」、つまり「生き方」を紙に書いてみましょう。そしてそれを家族で共有してみましょう。

そして、どうすればその「生き方」は今よりもっと良くなるかアイデアを出してみましょう?もし、その時には他の人の助けや学びが必要になるなら、まず家族で助け合えないか、考えてみましょう。それが家族の「生き方」になるはずです。

そして「学校」は生き方にどう使えるかを考えてみましょう。子どもが「自分が最高だ」と思える「生き方」を追求できれば、子どもが幸せになれる、ということを家族で共有し、「学校」をそのために活用する方法を考えてみましょう。
 
 
4.本書の弱点、分からないこと

書かれているのは、一組の親子のケーススタディのみのため、多くのケースを知り、法則や共通点を考えたい、という方には物足りない内容かもしれません。
また、「学校という形に全ての子どもが合うわけではない」ように、全ての子どもに「サドベリースクール」のような場所が合うわけでもありません。決められた規則や生活に従って過ごしていくことが心地よい子どももいます。本書もまた子どもの「生き方」や「学び方」の1つとして捉えることが健全です。
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以上、『小さな天才の育て方・育ち方』の紹介でした。
 
本書の使い方をもっと知りたい、
他にも不登校と教育に関する本を知りたい、という方向けに、
付録に、関連本の紹介や、本書の手引きも掲載しています。
良かったら見てみてください。

ありがとうございました。
それではさようなら。
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付録
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関連書籍
◎色々な不登校の形
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学校は行かなくてもいい ――親子で読みたい「正しい不登校のやり方」
小幡和輝 (著)

この本の著者である小幡さんは、約10年の不登校経験があり定時制高校から国立大学に進学しました。また、高校3年生の時に起業もしています。この本では著者の経験をマンガも交えて紹介されており、他にも同じく不登校を経験して今は起業している方々の体験談も掲載されています。実際に不登校を経験した方々の生の声を、マンガも交えて視覚的にも分かりやすく知れる本です。
◎義務教育から距離を置くメリット
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小・中・高に通わずに大学へ行った私が伝えたいーー不登校になって伸びた7つの能力
 吉田晃子, 星山海琳(著)
 
『小さな天才の育て方・育ち方』と同じ著者の本です。星山が小中高に通わず大学に行き、大人になって子ども時代を振り返った時に見えた、学校に行かなかったことで伸びた7つの能力にフォーカスして書かれています。『小さな天才の育て方・育ち方』と同じエピソードも多くありますが、“実際にどんな能力が伸びたのか”ということを整理して書かれている本です。
課題から読む逆引き読書」
Q. 子どもがいきいきと生きていくには何が必要か?
 
Q. 誰もが幸せな社会に近づいていくには?
 
Q. 子どもは育てるのではなく、育っていく。
 
Q. 大切なのは「正しい」ではなく「やりたい」
 
Q. デモクラティックスクール(サドべリースクール)とは?
 
Q. 「子どもが学校に行く義務」はない。
 

Q. 小中学校は通わなくても卒業できる。              17-18ページ

 

Q. 「今」に軸をおき、「今」の自分にとってのベストを選ぶ大切さ。           53-54ページ

 

Q. 反抗期はない方が自然?!                  67-68ページ

 

Q. 大切なのは「大学に行く」ことではなく「大学にも行ける」こと。        52-54ページ

 

Q. デモクラティックスクール(サドベリースクール)は、何もない。だからこそ何でもある。              56-62ページ

 

Q. 「やりたいことが分からない」仕組みは、学校のチャイムにあった。    114-115ページ

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書誌情報
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『小さな天才の育て方・育ち方-小・中・高に通わず大学へ行った話』
 
著者
吉田晃子
星山海琳

セルバ出版 刊行|168ページ
 
 
<目次>
第1章 大学を志すまで
第2章 17歳にしてはじめての勉強
第3章 学校と家庭
第4章 これからの自由な学び
第5章 子育ては自分に出会う旅
第6章 子どもの場所から
第7章 勉強のなかで暮らしている
第8章 子育てがうまくいったたった一つの方法
著者
吉田晃子

1962年大阪生まれ。大学卒業後入社した会社を3日で辞め、放浪の旅に出るなど自遊人の20代を過ごす。「デモクラティックスクール・フリープレイなわて」の立ち上げおよびスタッフを経て、「デモクラティックフィールドのらねこ」「AI‐am」を星山とともに創立。
 
 
星山海琳

1996年大阪生まれ。小中高に通わず、17歳の夏に突然大学へ行くことを志す。九九や四則計算など小学校算数を約20時間、数学を約12時間で修了し、他7教科とともに高認試験に合格。志望校である大阪芸術大学に現役入学した。
 
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ブック紹介
『小さな天才の育て方・育ち方-小・中・高に通わず大学へ行った話
 
配信日:2023年4月26日
配 信:SHiORI
© SHiORI

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